民主党県議団 賛成討論

平成28年3月24日(木)

 

主党・かながわクラブ県議団を代表して、今定例会で提案、審議されてまいりました平成28年度一般会計予算ほか諸議案について、賛成の立場から討論を行います。
 「神奈川モデル創造発信予算〜いざネクストステージへ」というタイトルのもと編成された、来年度(当初)予算は、県税収入、とりわけ法人2税の増収を背景に、一般会計総額が2137億円と過去最大規模となり、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えた人をひきつける神奈川づくり、新たな企業誘致策や知事肝いりの未病関連事業などが盛り込まれた、黒岩知事の言葉の通り「攻めの予算」となっております。

今回の予算には、われわれが提案してきた施策も数多く反映されており、その点については、評価をさせていただきます。

しかし、一方で、わが会派がかねてより求め、今回示された「中期財政見通し」によると、今後5年間で、3750億円の財源不足が生じると見込まれ、本県の財政構造は、依然として厳しい状況が続いております。

 増大する公債費比率に対処するため、「平成35年度までに県債残高を2兆円台に減少する」という目標を定めたことは、率直に評価するところですが、今まで以上に質・量ともに不断の決意で行財政改革を断行し、あわせて地方交付税の確保などを粘り強く国に求めていくことを、冒頭に改めて強く求めたいと思います。

 また、わが会派の代表質問でも取り上げましたが、今回国から一方的に示された税制改正では、地方税のうち、特に平成29年度から適用される法人関係税について大きな改正がありました。

 今回の見直しは、国の責任で確保すべき地方交付税の財源を、自治体の自主財源である地方税で賄うとともに、市町村の減収分を都道府県税で補うものであり、その影響額は試算では463億円にのぼるとのことです。「地方税本来の役割に照らしても、極めて不適切なもの」、と知事からも答弁がありましたが、地方税財政制度の抜本的な見直しを実現するよう、国に対して強く求めることを要望します。

 それでは以下、個別に意見を申し述べてまいります。 

最初に、神奈川県地震防災戦略についてです

このたび、今後9年間の減災目標を盛り込んだ新しい地震防災戦略が示されました。

「大正型関東地震」の想定死者数の半減をめざすこの戦略では、数値目標達成のため住宅の耐震化や不燃化の取り組みなどを推進するとされています。市町村との連携を強化し、着実に県民の命を守る取り組みを進めていただくよう要望します。

次に、新たな企業誘致施策「セレクト神奈川100」についてです。

来年度から、新たにスタートする企業誘致施策「セレクト神奈川100」ですが、この施策によって、県内産業や県民生活にマイナスの影響があってはなりません。

また、本県肝いり施策である未病などは、そもそも定義があいまいで、具体的に何が対象となるかわかりにくいと考えます。支援策の対象となる企業の審査の透明性や、施策の効果の見える化などに配慮し取り組むよう要望します。

 税を使って企業の誘致を行うのでありますから、こうした点をはじめ、様々な点を配慮して、県民から納得のいく、素晴らしい施策となるよう、制度を運用し、展開していただくようお願いします。

次に、子どもの貧困対策についてです

  子どもの貧困問題は神奈川県でも解決しなければならない重要課題です。このたび、県が行ったひとり親におけるアンケート調査では、厳しい貧困の現状がはっきりと示され、衝撃を与えました。県はこの結果を踏まえて国や市町村とも連携を取りながら、アンケート調査で明らかになった一つ一つの課題を解決していくことを要望します。

次に、待機児童対策と病児保育の取り組みについてです。

県内の待機児童は20154月時点で625名と減少傾向にあるといっても、待機児童ゼロをめざして更なる推進は待ったなしの課題です。待機児童問題の解消に向け、しっかりと取り組むことを要望します。

 また、わが会派の一般質問でも取り上げましたが、共働き家庭やひとり親家庭が増えるなかで、病児保育に対するニーズが高まっていますが、県内で病児保育が整備されているのはまだ14市に留まり、「子育てするなら神奈川」とは言い難い子育て環境です。県として市町村の状況調査を早急に行い、結果を踏まえて、市町村や関係団体と連携しながら、実効的な手法を検討し、病児保育の拡充に取り組むよう求めます。

次に、定県第58号議案、独立行政法人 神奈川県立産業技術研究所定款についてです。

独立行政法人は、県が直接運営するよりも柔軟で機動的な運営が可能になりますが、その一方で、経営者の責任は一層重くなると思います。

  更に、独法化により、神奈川科学技術アカデミーや産業技術センターが担ってきた中小企業支援の性格が薄くなっては本末転倒であります。質疑の中で、今後も何ら変わることなく中小企業支援に取り組む旨のご答弁をいただき、その点は担保させていただきましたが、過去の歩みをしっかり踏まえた上で、より県民に「見える形」で県内の企業、特に中小企業の発展に資する取り組みをされるよう強く要望いたします。

次に、神奈川芸術文化振興財団の包括外部監査結果と指定管理施設における労働状況についてです。

今回の包括外部監査では、労使協定に違反した長時間労働が指摘されています。財団に対し、社会保険労務士のような専門家も活用しながら、速やかな改善を指導するよう求めます。また、代表質問でも要望した通り、次回の指定管理者の選定にあたっては、適切な外部チェックの必要性からも、公募による選定も視野に検討することを要望します。

さらに、この指摘を重く受け止め、他の指定管理施設における労働状況についても、しっかりチェックする必要があると考えます。指定管理運営にあたっては、社会保険労務士などによる労働条件審査の導入なども検討することを要望します。

次に、ヘイトスピーチへの対応についてです。

本県では全国に先駆けて「神奈川県人権施策推進指針」を策定し、人権がすべての人に保障される地域社会の実現を目指してきたところですが、外国人県民や地域住民に対して大きな不安感をもたらすヘイトスピーチは、知事が答弁されたように、決してあってはならないことであります。ヘイトスピーチ根絶のために、国への更なる働きかけとともに、本県としての実態調査並びに、実効性ある対応に取り組むことを要望します。

 次に県立高等学校における平成28年度入学者選抜にかかる採点の誤りについて申し上げます。

 今回、28年度県立高校入試において、多数の採点の誤りが発覚しました。影響を受けた子どもたちの気持ちを考えると、わが会派としても大変遺憾に思うところであります。しかも、文教常任委員会調査会において、27年度入試でも誤りがあったことが報告され、かつ一部で保管義務のある答案の廃棄処理が行われていたことも新たに明らかになりました。当局はこの事実を真摯に受け止め、原因究明につとめ、二度とこのようなことが起きぬよう、早急に対処することを強く求めます。

最後に、日米地位協定に向けた新たな取り組みについてです。

我が国の平和と安全には、日米安全保障体制の円滑な運用が重要であり、そのためには、日米地位協定も時代に即したものにしていく必要がありますが、昭和35年の締結以来、一度も改定されておりません。

 そうした中、昨年9月には、神奈川県が提案し、渉外知事会が長年取り組んだ「環境補足協定」が日米両国政府間で締結されました。

 知事はこうしたことも踏まえ、私どもの代表質問に対して「本県として在日米軍と地元自治体との新たな関係を構築するため独自試案を提示し、渉外知事会を通して国へ働きかけていく」と発言されました。是非、本県が先頭になって取り組んで頂くことを改めて求めておきます。

以上意見要望を申し述べましたが、2期目を迎え、平成28年度に向けて、さらなる飛躍を目指す黒岩県政を、わが会派としても、県民目線で支え、また、一方で行政をチェックする二元代表の役割を果たしながら、ともに歩む決意を改めてここに表明し、賛成討論を終わります。