箱根・大涌谷火山活動の現地調査から

平成27年5月31日(日)
箱根町役場

 5月28日、 民主党県議団の政調会で箱根・大涌谷火山活動を現地調査しました。箱根町役場で副町長はじめ、関係課長、観光協会等の方々からヒアリング、意見交換させていただきました。

 5月6日に気象庁が噴火警戒レベル2に引き上げてから、大涌谷周辺半径300mの立ち入り禁止が続いていますが、「立ち入り規制区域は全体の0.3%に過ぎず、箱根町ではよくあることで、住民は通常の生活をしている」ことをアピールされていました。

 箱根町は人命の安全を第一としながら、正確な情報、旬な情報を発信していきたい。県の箱根に特化したふるさと旅行券のPR、休業事業者を支援する雇用調整助成金の緩和など要望もいただきました。8割が観光産業という箱根の風評被害への心配が伝わります。噴火災害が起こる以前にいち早く規制に踏み切ったケースは全国初。しっかり課題を持ち帰り防災対策に反映したい。


里村所長が火山活動の現状を説明。                       各地点の地震活動を監視  

 次に「県温泉地学研究所」の里村幹夫所長よりヒアリングした後、噴気活動の見える場所へ移動。温地研は温泉資源の保全の調査研究をはじめ、箱根火山や地震の独自観測を行い、道府県では唯一の研究所です。
http://www.onken.odawara.kanagawa.jp/


大涌谷から約700m地点でも噴気の轟音が響く。筒状の管を通じて噴気が上がるためという。

以下に現状説明の要旨をまとめました。

・今回観測された地震活動は4,435回と、過去最高の2001年を超えた。
・現在、地震活動は収まってきたが、地殻変動は収まっていない。
・地震の震源地は大涌谷から南へ、早い時間で移動している(HPによれば、神山、駒ケ岳、湖尻に移っていることがわかる)。
・人工衛星によれば、地盤が局所的に10cm以上隆起している。山体の膨張が続いている。
・地震活動、地殻変動、噴気活動の3要素によって、気象庁が噴火警戒レベル2へ引き上げた。
・約3000年前、神山の大規模な水蒸気噴火により、山体が崩壊し、芦ノ湖が形成された。800年前の噴火のデータがないので比較できない。
・長期化するかは不明。現在のところ、活発な火山活動が終息する見通しは立っていない。

 気象庁より数の多い観測網を持つ温地研は、HPをリニュアールし、詳細な観測データをリアルタイムで公表。わかりやすい情報は注目されています。住民と多くの観光客の安全安心につながる正確な情報を得ることは、災害への備えの要です。

一日も早い終息を願うとともに、観光事業への影響縮小のために国への働きかけも含めて県として取り組みたい。