23年度決算を認定

平成24年11月12日(月)

 決算特別委員会で、平成23年度公営企業会計、病院事業会計、一般・特別会計の決算を認定しました。民主党かながわクラブの茅野委員が、会派の質疑をまとめて、以下のように意見発表を行いました。

 私は、民主党・かながわクラブ県議団を代表して、平成23年度神奈川県一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県特別会計歳入歳出決算、並びに同年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県病院事業決算の認定に当たり、賛成の立場から、意見と要望を述べさせていただきます。

 

 平成23年度は、東日本大震災からの復興のために多くの人々が努力した1年でありました。一方、経済に目を移してみますと、我が国経済を取り巻く環境にはたいへん厳しいものがありました。夏以降は欧州政府債務危機が顕在化し、欧州やアメリカの成長鈍化は、中国をはじめとするアジア地域の輸出鈍化にもつながりました。こうした世界経済の減速の動きに加え、円高の影響もあり、我が国の輸出は伸び悩みましたが、一方で、年度後半には、復興需要等に支えられた内需主導の上向きの動きも確認されました。

 

 こうした経済状況の下、本県の平成23年度の一般会計決算でありますが、歳入面では、県税収入が個人県民税や地方消費税の減収などにより4年連続で減収となりました。歳出面では、神奈川の未来作りに向けて重点的な取組みを推進するとともに、太陽光発電設備の導入に対する支援制度等の新たなエネルギー対策や、地震防災対策など「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けた施策を推進しました。厳しい財政状況が続く中ではありましたが、計画的かつ効率的な執行に努め、これまで以上に徹底した施策・事業の見直しを図ったほか、人件費の抑制にも取り組んだ結果、一般会計において実質収支は12年連続の黒字を維持しましたが、単年度収支では2年ぶりに赤字となりました。

 

来年度の予算編成に向けて、既に多額の財源不足が見込まれております。平成20年秋のリーマンショック以降、大きく落ち込んだ税収は急激な回復が期待できない一方で、高齢化の進展による介護・措置・医療関係費の増加と、大量発行を余儀なくされた臨時財政対策債の償還に伴う公債費の増加により、本県財政はまさに危機的な状況に直面しています。10月には「神奈川県緊急財政対策」が公表され、今後、全庁を挙げての取組みが行われていくことと思いますが、より一層、効率的、効果的な執行に努めていただくことを要望いたします。

 

それでは、一般会計及び特別会計の歳入歳出決算から意見と要望を述べてまいります。

 

はじめに、財政問題について何点か申し上げます。

 全国レベルで比較した場合、本県における財政力指数と実質公債費比率は非常に健全ですが、一方で経常収支比率は高く、財政の硬直化が進んでいることがわかります。緊急財政対策においても、「2年間で1,600億円の財源不足」ということが示されているだけでは、県民や市町村と危機感を共有することは難しいと思います。財政指標の目標値及び臨時財政対策債も含めた県債全体の管理目標を設定し、プライマリーバランスの黒字化についても、県民にわかりやすく説明していただくよう要望いたします。

 

県債発行額の大部分を占める臨時財政対策債は当初予算では、2,450億円で予算計上されています。決算額は2,454億円となっており、予算額を上回っています。県税収入が予算額を上回っている中で、臨時財政対策債を例え4億円といえども、厳しい財政状況下で、公債費の抑制を認識している中にあっては、抑制すべきでありました。改めて我々と危機感を共有していただくことを求めます。

さらに本県として独自に臨時財政対策債の抑制に踏み出すべきです。「健全化判断基準」について、我が会派の質疑で初めて臨時財政対策債の影響を除いた場合の健全化判断比率が示されたところではありますが、このままでは神奈川の未来に明るさが見出せません。質疑では管理目標の設定に言及もされましたが、やはり本県独自に公債費や県債の目標を立てるべきだと思います。このことを「しっかりと」お願いします。

次に今回の緊急財政対策案では、県有施設の見直し及び補助金の見直しについて、この議会において様々な議論がなされてきましたが、負担金については、あまり議論の遡上に上っておりません。

我が会派としては平成20年度決算を審議した際にも、事業の無駄の排除、不要不急の事業の見直しについて質問し、負担金の問題をその当時から取り上げています。

まさに我が神奈川県財政は危機的状況にあるということを再度肝に銘じていただけたら、それぞれの負担金の額の適切性、有効性については、これまで以上に踏み込んだ見直しや改革が必要です。県民局長からは負担金支払いの停止も視野に入れて見直すとの答弁があったところなので、この際改めて、決算特別委員会の審議をきちんと次年度予算に反映されるよう要望いたします。

 

 

 続きまして、歳出関係について順次申し上げます。

 

(まず、安全防災費の不用額についてでありますが、)

安全防災費の「市町村消防防災力強化支援事業費」については、平成22年度までの「市町村地震防災対策緊急支援事業」に代わり、消防広域化と木造住宅の耐震化に特化した新規補助事業としてスタートしたにも関わらず、予算規模の24%にあたる約4,300万円が不用額として執行されなかったことは残念です。

 耐震診断において前年度の2倍の申請が出されていますが、耐震工事までに至らなかった原因を調査し、県の補助金額を増額するなど、県民が利用しやすい制度に改善していただくよう要望いたします。

 

(次に、パスポート発給に伴う事故についてであります。)

パスポートセンター県央支所において起きた、誤って他人のパスポートを失効させてしまった事故については、再発防止策を徹底していただくとともに、パスポートの発給については、県内の自治体にも様々な役割を担っていただいていますので、今後とも気を付けていただくよう要望いたします。

 

(消費者保護対策についてでありますが、)

オレオレ詐欺や振り込め詐欺等の認知度が上がっているにもかかわらず、被害件数や被害金額が減っていない状況の中で、消費者保護施策は非常に重要ですので、現場から上がった課題について執行や総合計画に反映していただくなど、今後ともしっかりと取り組んでいただくよう要望いたします。

 

(次に、緑地保全についてであります。)

 神奈川の緑地は丹沢など一部を除き、人の手で管理をして保全されてきたと認識しています。用地買収に多額の支出が必要となり、維持管理まで手が回らないのはわかりますが、「武家の古都・鎌倉」も世界遺産登録に向け、がんばっているときでもあり、予算の確保など必要な財政措置を講じてもらうよう要望いたします。

 

(がん対策についてでありますが、)

 がん登録に関して、未協力病院への呼びかけをしっかり行っていただくよう要望いたします。

また、がん診療連携拠点病院への強化支援は非常に重要です。更なる拡充を要望し、ピアサポートについては、これはもう、県独自に強力な施策推進が不可欠と考えます。

今、現場ではがん患者と医療従事者とが十分な話し合いをする時間が取れずに、患者が自分に対し行われている治療に対して意味を確認したり、意見を言ったり、治療のスケジュールを確認したりすることなどができないまま、治療が進み、誤解や誤認をまねき、治療放棄など不幸な結果に陥ってしまうケースが発生しています。

ピアサポート等の心のケアを拡充すると共に、患者のみならず、医療従事者、コメディカルの方々にもアドバイスのできる精神腫瘍医の登用、活用を強く要望いたします。

 

(次に、自殺対策についてであります。)

 いくつか質問させていただいた状況を踏まえ、是非、男性が相談しやすい環境作りも積極的に推進していただくよう要望いたします。

また、ハイリスク者対策としてがん患者の皆さんへは精神的ケアが重要なわけですが、がん対策課との連携も必要と思われます。是非、知事もいっておられますクロスファンクションで、次年度以降の積極的な対策を強く望みます。

 また、今年度の自殺者数の推移では若干減少の見込みと伺っております。この点を高く評価すると共に、難しいとは思いますが、減少の要因を分析し、今後の対策を益々推進していただくよう要望いたします。

 

(次は、経済連携協定に基づく看護師候補者の扱いについてであります。)

知事は、これまでも医学部新設やライフイノベーション特区に関連し、国際的な医療人材の養成や確保に言及してきました。経済連携協定に基づき、現に来日し、祖国や我が国の医療に貢献しようと、一生懸命学んでいる看護師候補者の養成は、本県への国家的要請であり、かながわの国際貢献でもあります。国を挙げての取り組みなのに、本県だけ、准看護師養成停止の議論の中で、必要な研修と就労の機会がそこなわれる不測の事態を招かないよう、適切な判断と十分な配慮をしていただくよう要望いたします。

 

(次に、雇用創出のための基金事業についてであります。)

 基金を活用して新たな雇用を創出してきたことは、一定の効果があったものと認識しております。また、基金特有の様々な制約や交付時期を見据え、事業内容の選定や執行残を残さないような取り組みに創意工夫を凝らしていることも確認できました。

厳しい雇用情勢が続く中、基金事業は原則として平成24年度で終了することになるようですが、この基金によって創出された雇用がもたらす効果が今後、様々な場面、分野で、出来るだけ多くの継続雇用に繋がっていく事を願うところであります。引き続き、きめ細かな就業支援に力を入れていくとともに、新たな産業振興を通じた雇用の創出にも、積極的に取り組んでいただくよう要望いたします。

 

(県内農産物に係る放射能問題についてでありますが、)

足柄茶から基準値を超える放射性物質が昨年5月に検出されましたが、出荷制限を経て、出荷停止解除が速やかに図れましたのは、生産者・関係団体・県の研究の結果であります。今後も風評被害対策に取り組むとともに、更なる臨機応変な研究体制を要望いたします。

 

(次に、中小企業制度融資についてであります。)

知事の言うところの、県内経済のエンジンを回していくためには、中小企業の経営基盤の安定が不可欠であります。そのためにも、中小企業のニーズや実態を的確に把握し、経済情勢の変化や自然災害の発生の際にも冷静に情勢を見極め、迅速に対応していくことが求められています。今なお、景気の後退が懸念されておりますが、今後も、中小企業の資金繰り支援にしっかりと対応されるよう要望いたします。

 

(次は、土砂災害対策についてであります。)

昨今の気候変動により土砂災害対策の必要性が高まっています。大きな被害が出ないように対策を講ずると共に、それに伴う予算確保を公共事業・単独事業共に進めていただきたいと思います。また、必要があれば工事箇所における工事の優先順位の洗い直しも検討していただくよう要望いたします。

 

(次に、警察官の県単の上積み部分等についてでありますが、)  

緊急財政対策に対する最終意見での「県単独部分については、その必要性を厳しく検証すべき」との提言については、本県の治安状況を見ると、いまだにその環境にないと我々は判断していることを重ねて申し上げます。

県民生活が脅かされることの無いように、更なる警察官の増員により、安全・安心な神奈川の構築に向け、本県が一丸となって取り組むよう要望いたします。

 

(次は、警察の装備整備関係についてであります。)               

警察活動において、警察車両が機動力を発揮することで、犯罪抑止や事故防止などの効果があり、県民としては心強く感じられることと思います。警察装備整備事業のなかで、車両の維持費が約50%を占めていますが、県費車両の更新が進まない中で、県民の安全・安心を守るという点で、警察車両を適性に維持管理していくことは、警察活動を行う上で必要不可欠であり、車両の故障により、警察活動に支障をきたす事が起きてはならないと思います。経年劣化の激しい車両等に対して、更新する事による費用対効果を勘案して、車両更新の考え方の見直しを要望いたします。

 

(次に、県立高校及び関連する学校についての防災対策と防災教育についてでありますが、)

まず、県立学校及び、関連する学校の耐震化については、巨大地震の切迫性が叫ばれている中、大切な生徒を守る場所であり、尚且つ地域の防災拠点ともなる、県立高校の耐震化が63.2,特別支援学校が83.3%では、地域の防災拠点としての役割が十分とは言えません。1日でも早く県民の安心安全が確保できるよう耐震化に取り組むことを要望いたします。

次に、災害時に自分の身を守るためには、日ごろの訓練が欠かせません。これまでの生徒を対象とした訓練に加え、地元自治会や町内会など地域の方々と連携して防災訓練に取り組むことにより、地域防災の担い手として活躍できる生徒の育成も重要です。防災教育のソフト面の充実と、学校施設の耐震性の確保といったハード面の対応をより一層推進し、県立高校等の防災対策、学校防災力の向上に積極的に取り組んで頂くことを強く要望いたします。

 

(次に、いじめの問題や不登校への対応についてであります。)

「大学と連携した学校非公式サイト対策事業」では、大学が協力校の非公式サイトを収集して、トラブル発生時の対応マニュアルを盛り込んだ、情報リテラシー教材が大学により作成され、協力校や、それ以外の学校にも最近提供されています。今後は、この貴重な教材をさらに有効活用し、いじめ根絶にむけた取り組みが重要であり、いじめがなくなる抜本的な解決がなされるよう、後追い調査も含め積極的な対応を要望いたします。

いじめの問題をはじめとして、子どもたちは、日々の学校生活の中で様々な悩みをかかえています。そのような子どもたちをしっかり受け止め、気持ちよく学校生活を送れるように導く教育相談体制の整備を特に重点的に行っていただきたいと思います。

また、教員の採用にあたっては、教員としての適性を見極めていただき、教員の資質の向上に、一層、努めていただくよう要望いたします。

 

(一般会計・特別会計関係の最後は、県立の図書館についてであります。)

「神奈川県緊急財政対策」の中で県民利用施設の検討の方向性が示されていますが、施設ごとに、設置の経緯、役割、利用の状況などを踏まえて、拙速に結論を出すことなく、それぞれ丁寧に検討を進めていく必要があると考えます。

特に、県立の図書館については、長らく県民に親しまれてきた施設であり、市町村立図書館への支援など重要な役割を果たしてきました。我が会派の質疑を通じ廃止の検討ということが明らかになりましたが、県立図書館の廃止は、県民サービスが大きく低下することが懸念されますので、広く県民、利用者の意向をふまえた十分な検討を行うよう要望いたします。 

 

 続きまして、平成23年度の公営企業決算につきまして意見を申し上げます。

はじめに水道事業ですが、事業収入の大部分を占める水道料金が平成19年度以降、節水機器の普及や企業による地下水利用、そして、リーマンショックに端を発した景気の落ち込みと、昨年3月に発生した震災の影響による節水意識の定着などから減収傾向にあり、今後、景気が回復しても大幅な収入の増加を見込むことは難しいといった状況にあります。

このような厳しい経営環境の中で、水道料金の確実な収入に向けて、未納整理と未納の未然防止対策の二つの取組みから徴収率の向上に向けて努力していることは評価できますので、今後もこの取組みを着実に推進していただくよう要望いたします。

また、お客様の利便性向上の観点から水道料金のクレジットカード払いの受付を101日から開始し、予想していた件数より申し込み件数が多い状況であるということですが、この取組みについては未収金の未然防止にも役立つということなので、今後もPRに努めていただき、お客様サービスの向上に引き続きご尽力いただきますよう要望いたします

次に、水道施設の耐震化対策についてであります。

県営水道では、給水区域全域において、東日本大震災においても被害を受けなかった、耐震継ぎ手管の使用を促進するなど管路の耐震化に努めていますが、県営水道給水区域においても大規模地震が想定されている中で、水道施設の耐震化は急務でありますので、今後も水道管路の耐震化に着実に取り組んでいただくよう要望いたします。

次に、企業庁災害対策計画の改正についてであります。

東日本大震災の発災を受けて、災害対策計画の改正が行われ、管工事業者の組合との連携が強化されるなど様々な視点で災害対策の取組みが行われていることがよくわかりました。今後も災害時に安定給水ができる体制を維持していただくよう要望します。

続いて、県営水道における放射能対策についてあります。

放射能濃度測定機器の整備などにより県営水道の水道水からは、昨年度以降、放射性ヨウ素、放射性セシウムともに検出はなく安全性が確認されたということですが、浄水発生土からは、依然として放射性セシウムが検出されているという状況があります。県民の皆様の不安感を解消するためにも、平成23年度に整備を行った検査機器を有効に活用して検査結果を速やかに公表するとともに、今後とも県民等からの問い合わせには、真摯な対応をお願いするよう要望します。

二つ目は、電気事業会計についてであります。

電気事業については、58,800余万円の当年度利益を確保し、引き続き健全な経営を続けていることは評価いたしますが、今後の社会情勢の変化などによっては、けっして楽観できる状況ではありません。今後とも経費節減に努め健全経営を続けていただくようお願いします。

次に、相模貯水池大規模建設改良事業についてであります。

しゅんせつ土砂の歩留まり率の低下により骨材利用の処理費用が増加している状況にありますが、ダム湖の貯水量を確保するためには、しゅんせつは必要不可欠な事業であると思いますので、今後とも効率的に費用対効果を考えながら取り組んでいただくとともに、海岸侵食対策としての養浜用の土砂としても有効活用されるよう要望いたします。

 三つ目は、公営企業資金等運用事業会計についてであります。

同会計も2億1,600余万円の利益を確保しておりますが、当年度利益は、平成21年度決算に比べますと1億3,100余万円減少しておりますので、安定した経営を目指して、業務の効率化や経営の効率化を進めるようお願いします。

最後に、相模川総合開発共同事業、酒匂川総合開発事業におけるダム管理に

ついてであります。

神奈川県内の貴重な水源であるダムは、県民生活に欠かすことのできない水

道用水を供給する重要な施設であります。将来にわたり水道用水の安定供給が確保されるように、計画的に必要な改修等を実施し、ダムの維持管理に努めていただきたい。また、今後とも水源地の保持について、細心の注意を払っていただくよう要望いたします。

以上、個別に意見と要望を述べてまいりましたが、最後に、本委員会で議論された内容や意見を、来年度の予算編成や施策の推進に十分反映していただくことを強く要望し、日程第1、認第1号、平成23年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県病院事業決算の認定について、並びに日程第2、認第2号、平成23年度神奈川県一般会計歳入歳出決算及び同年度神奈川県特別会計歳入歳出決算の認定について賛成いたします。

 











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