近藤誠一前文化庁長官が講演

平成25年7月10日(木)


 前文化庁長官近藤誠一さんの「これからの鎌倉」と題した講演会が鎌倉で開かれました

  世界遺産登録が不記載となったイコモスの勧告について、中世都市の象徴的な政権拠点の遺跡、すなわち幕府跡が発見されていない点が決定的ではないか、と説明されました。西欧の価値観では精神文化より、物質的で目に見えるもの、科学的に証明できるものに限られることを理解して、できるだけ対象を絞る戦略も重要と分析。

 たとえば三保の松原。イコモスは富士山の一部ではないとして、登録には除外する方針でしたが、ユネスコ委員会で逆転し、登録入りしました。日本人の価値観でいえば、広重の浮世絵に代表されるように、富士山を見るのになくてはならない場所であっても、科学的に証明されないものは価値を認めない。そこに世界遺産登録基準とのズレがあるようです。
 
 今後再挑戦するとすれば、幕府跡の発掘調査など、相当の覚悟と持続力が必要であり、市民の十分な議論は欠かせない。一方、世界遺産以外にも、廃墟の町が文化で再生した仏ナント市を例に、日本版文化芸術都市の方向性を探る提案もありました。

 示唆に富んだ講演でした。市民の皆さんと今後を考えていきたいと思います。


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