大分県の里親養育支援を調査

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平成28年2月9日(火)
大分県庁にて子ども子育て支援課の方と
 県民企業常任委員会の会派のメンバーで、大分県の里親養育支援の取り組みについて調査してまいりましたので、ご報告します。大分県福祉保健部こども子育て支援課、県中央児童相談所の里親担当職員さんから取り組みの実績や課題を伺いました。

 大分県では、支援が必要な要保護児童496人(H26)のうち、28%を占める140人のこどもが里親とファミリーホームで生活しています。27年度は、更に30組の里親が増える予定。この十数年間で27%も里親委託が進んだのは活気的です。

 では本県は?神奈川県の要保護児童(政令市除く)688人のうち、里親委託は11%の75人、乳児院、児童養護施設が86%、グループホームが3%となっています。里親委託率の全国平均は15.6%(H25)。数字だけで、人口120万人の大分と907万人の本県と単純に比較することはできないにせよ、大分県の継続的、積極的な取り組みは学ぶべき点が多いと感じました。

 ・県が里親委託推進を行うきっかけは、要保護児童が増え、施設が満床になったり、集団生活に適応できない子どもがいることであった。実際に里親に子どもを託すことで、子どもの表情が大きく変わり、乳幼児期の愛着形成や、こどもと養育者との1対1の密な関係づくりに有効であることを児童相談所が認識した。
・「一中学校区に一里親家庭を」を目標、里親の開拓のために、県民向け里親制度の説明会を年間30回ほど開催。市町村単位の説明会も。県・市町村の広報紙や新聞、CATV等で頻繁に広報活動している。
・里親登録証を発行。身分証明書として有効。
・組織的に里親委託を推進するため、里親専任職員2名、非常勤4名体制に拡充。
・マッチングのために里親への密な訪問、情報の集積を行う。
・新規の里親の場合、まずは短期で。
・里親家庭への心理面接や家庭訪問など、里親支援を丁寧に行う。
・里親研修、里親の病時や一時的な休息のためのレスパイトやヘルパー派遣。
・里親養育の応援のためのネットワーク会議。里親、市町村、保育園、学校、児童相談所等が一堂に会し、情報共有する。
・里親と児童養護施設との連携。

 本県の独自の取り組みとして、施設退所後の相談や就労支援を行う「あすなろサポートステーション」を辻堂駅近くにオープンし、続いて里親委託を推進するための「里親センター」も開設しました。事情があって実の親と暮らせない子どもが、安心して地域で生活できる仕組みが求められています。

「光の園」 一番奥の建物が児童養護施設。7〜8人の子ども達と専任の2人の先生が寝食を共に暮らしています。保育園、学童保育も併設。


子ども家庭支援センター。相談だけでなく、レスパイトの一時預かりや施設退所後のOBも宿泊OK。

働きながら自立して暮らすグループホーム
子どもの美術館

 翌日は、別府市にある児童養護施設 光の園を視察させていただきました。この施設がある敷地には、子ども家庭支援センターが併設されているばかりか、他に保育園、学童保育、児童館という多くの子ども達が集う複合施設になっているのが一番の特徴です。

 ご案内いただいたのは、養護施設と子ども家庭支援センターの副所長を兼務する久志さん。「施設で生活する子ども達が孤立しないために、たくさんの親子が集まる場所にしたかった」と思いを話されました。養護施設が特別ではない、町の子育て支援の拠点に。

ご自身も施設に住み込みで中高生と暮らした経験から、里親支援にも積極的です。子ども家庭支援センターでは、里親の病気や遠方外出時に子どもを預かるレスパイト事業も年間20件位。日頃から里親家庭を訪問し、信頼関係に努めています。

 また、発達障がい等の子どもが施設退所後に生活するグループホームも開設。多くの方々のご寄付によって、退所後も地域で就労しながら自立する道が開けました。

 支援を必要とする子ども達が、将来は自立し、大人として誰かを支える人に育つように、知恵を出し取り組みたい。